クリスチャンベール映画バットマン ビギンズ 3部作出演・降板

皮肉にもこのバットマンという役は、クリスチャンベールにとって大きな悩みだったというのだ!

さあ一緒に、悩めるクリスチャンのたどったバットマン役への足取りを紐解いていこう!

”天才子役”として大成功のスタートを切ったスピルバーグ監督の「太陽の帝国」出演だったが、成功の後のスランプの時期を乗り越えて、

今でこそ、その名声を超メジャー級にまで押し上げた大作「バットマン」3部作出演になるのだが、バットマンを演ずるに関したエピソードあたりを中心に、
彼の足跡を紹介していくぞ。

プロフィール

Christian Bale、英国ぺンブルックシャー州出身 、1974.1.30生誕 51歳

クリスチャンの映画に対する真剣な姿勢や映画愛は、観客にとって何よりものプレゼントであるが、これに劣らずプライベートでは映画界で有名な”愛妻家”であることでも知られている。
4歳年上のモデル出身のシビ・ブラジックと26歳で結婚式を挙げている。これまで実は20代の時、クリスチャンは独身主義者であったのだ。〜両親を含めた家族全員が離婚経験者であったため、「結婚する気が全くなかった」とのちのインタビューで答えている。

バットマン役に至る前の映画「若草物語」の共演で女優のウィノナ・ライダーと会い、この時彼女の個人秘書として動いていた現在に至る奥様、シビ・ブラジックと知り合うきっかけがあったという。少し話すと突然、「この女性と結婚したい」と思うほど惚れてしまい、粘り強い求愛の末に夫婦の絆で結ばれることになったのだった。

20年以上の結婚生活、現在も夫婦仲睦まじく一男一女に恵まれ、楽しく暮らしているようである。世界にとどろくバットマンたるクリスチャンでさえいつも、
「今の自分の成功は、すべて妻のおかげ」と褒め称えているそうな。

そして、

2005年、伝説の映画「バットマン ビギンズ」公開

クリストファー・ノーラン監督の「バットマン 3部作」は、今となってはクリスチャン・ベールの代表作となっているが、皮肉なことに当時のこのバットマンの役はクリスチャンにとって大きな悩みであったというのだ。

というのは、
彼が追求する”メソッド演技”は、徹底的にその人物に憑依する過程が重要であって、今まで現実の中にありそうなキャラクターたちを演技するためにこの演技法に落とし込んで成功してきたのだった(過去の主演作「アメリカンサイコ」や「マシニスト」など)

なのに今回は、メソッド演技をしようにも実在するはずのないコウモリ模様のスーツを着て動きまわるスーパーヒーローを演じることは大きな苦痛を伴ったというのだ。

バットマン役へのアプローチ「声の変調」

まず、オーデションを受けにいった彼に製作陣は”バットマンスーツ”を着せたのだが、待機中に鏡に写った自分の姿、”とがった耳と仮面にマントを身につけている姿”を見てしまい、自分がとてもバカのように思えて耐えられなかったという。

「いったい、どんなバカがコウモリのスーツ着て動き回るんだ」って。

こんな服を着て平気で「こんにちわ、お友達!」

そんなセリフを言わなければいけないのか?

一体どうすれば、このキャラクターを演じられるのか?

〜どうすれば現実に、存在すると信じることができるのか?

・・・この時一つの妙案が浮かんだ。
そしてこの妙案こそがまさに、クリスチャンベールが演じた”バットマンのトレードマーク”と言える、語り継がれていくものとなったのである。

それというのは、「声の変調」であった。
普段は普通の声で話し、バットマン・スーツを着た時は全く違う声を出すことに徹底したパフォーマンスを見せたのだった。バットマンといえど、一旦正体を隠さなければならないため、一般人である時とバットマンの時で同じ声であっては不自然でなはいかと、全く違う声を出すことで演じ分けようとしたのだった。

〜犯罪者たちと戦うためにコウモリスーツを着て飛び回るくらいだから
「この人は正気ではないだろう」という判断をして、
「バットマンスーツを着ている時だけは、自分が人間ではなく”一匹の野獣”だ」
という演技アプローチを行ったというのである。

そのため野獣のように吠えるような低い声でセリフを語り、自ら役に没頭できるよう工夫をしだしたのだった。
事実、この声の変調は「俺は一匹の野獣だ」と役にのめり込むことにつながり、”メソッド演技”をしていると自分を納得させることができた、とクリスチャンは後に述べている。

・・・この時の彼の「声の変調」パフォーマンスを
製作陣は、”新鮮だ”と受け取り、結局クリスチャン・ベールをバットマン役に抜擢することになった。

「バットマン」3部作そのあとの新作にも適用された

この時の「声の変造」たるや、その後のバットマン制作にも大きな財産を残すことになったのだった。

その後、ベン・アフレックがクリスチャンの後を継いでバットマンを演じるようになった時でも、バットマンスーツ着用時には声が変造される設定が作品に盛り込まれるようになった。ただ、ベンアフレックは、普段の声で演技をし、編集過程で機械音を混ぜて変形した声を作り出していた。

一方、元祖バットマンであるクリスチャンはメソッド演技にのっとって、地声で変わった声を出すため、制作途中で声が出なくなり、撮影が3回も中断されたりもしたという。

ノーラン監督からクリスチャンへ出された、撮影前の宿題とは?

クリストファー・ノーラン監督から、初撮影に先立ち出された宿題が一つあったと言われている。それは「体重増量」であった。

当時、前作「マニシスト」の撮影が終わってから間もなかったため、クリスチャンは依然として痩せ細った姿に近かったのだ。そのためバットマンキャラクターに似合うように丈夫な身体を作ってくるようにと、リクエストされたのだった。

そして数ヶ月経ち、再びクリスチャンに会ったクリストファーノーラン監督は、
自分の目を疑うことになる。

なんと、45キロの体重増量で現れた!

目の前に現れたクリスチャンベールは、まさに

”ぽっちゃりとした、おじさん”

であった。

なんと、45kgさらに増量してきた、というのだったのだ。

あまりにも完璧な筋肉隆々のバットマン体型を予想していただけに、監督は唖然とした。
バットマンを演ずるには、あまりにも肉付きが良かったため監督は、
「10kg程度だけ減量して欲しい」
とクリスチャンにお願いしたそう。

こうして我々が知っているバットマンの姿がスクリーンに映し出されるようになったのだ。

第1作「バットマン ビギンズ」では、大富豪ブルース・ウェインがバットマンになるまでの物語が描き出されている。この作品では豪華名優たち、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、ゲイリー・オールドマン、渡辺謙が共演している。

”バットマンスーツ”は辛いよ!

クリスチャンは、スーツを着て演技するのは初めてだったので、これによるストレスもかなりあったと話している。

顔まで覆ってしまうスーツなので、視界確保が難しく閉所恐怖症のような不安と頭痛がよくあった、とのことだった。

そして何よりもファスナーさえなく、誰かが手伝ってくれないとトイレに一人で行けないことに苦痛を感じていたのだ。
3部作の第3作「ダークナイト・ライジング」(2012)(←共演人が実に華やか!キャットウーマン役のアン・ハサウェイ、ベイン役のトム・ハーディ、若手刑事ブレイク役のジョセフ・ゴードン=レビットらが新たに参加)でバットマン役を降板することになるクリスチャンだが、後任に決定したベン・アフレックには期待していたそうである。そして、彼が実力を発揮するためには避けては通れぬ重要なポイントがあると話している。以下、

「彼の幸運を祈るよ。彼は経験豊富な俳優であり、監督経験もある。それは味方となって、自分なりのバットマン像を作ることになるだろう。バットマン役は受け継がれるべきものだから、彼のあともそうなるだろうね」と言うベールは、アフレックに会った時に一つだけ忠告をしたというのだ。

・・・「誰からも助けを借りず、自分で放尿できるようにしておけ」とアドバイスしたよ。なぜなら、ちょっと屈辱的であることだからね。僕は放尿したくなるたびに、人に頼んでコスチュームを脱がせてもらっていた経験があるんだ。
そして、「水をたくさん飲むなよ」とね。

メソッド演技の好敵手(ライバル)! ”ジョーカー”役のヒース・レジャー登場!!

バットマン映画を通じて、クリスチャン・ベールは同じ”メソッド演技”の好敵手(ライバル)に出会うことになる。(ビギンズの続編「ダークナイト」2008)
ジョーカー役の俳優、ヒース・レジャーだった。

ある日、ヒースレジャーはクリスチャンに演技に没頭したいので、実際に殴って欲しいと頼んでいた。クリスチャンは直接殴らなくても十分実際に殴ったように演技を上手にしてみようと説得したのだったが、ヒースレジャーはその意志を曲げず、結局壁に身体を何度も投げ出して自虐するに至ったのだった。そのため、壁にあるタイルが凹んだり割れたりするほどの強さだったのだ。

このような2人の名俳優のメソッド演技のおかげで、観客たちは手に汗握るバットマンとジョーカーの名演技を見ることができたのだった。
この映画「ダークナイト」は、全米で当時歴代2位となる5億ドルを超える興行収入を記録し、全世界興収も10億ドルの大ヒットを記録したのだった。

この作品で、”悪のカリスマ”と呼ばれるジョーカーを演じたヒース・レジャーは撮影直後に急逝するが、「ダークナイト」が公開されるとその演技が絶賛され、その年のアカデミー助演男優賞を受賞したのだった。

大作となったこのバットマン三部作は、クリスチャンベールの渾身の演技のおかげで、
単なるヒーロー映画の枠を超えた深いテーマ設定と複雑なキャラクター描写が盛り込まれているため、その重厚なストーリーがまさにファンの心を掴んで離さない名作シリーズとなりえた。

・・・名優クリスチャン・ベールがバットマン役へ真摯に取り組むその姿に、共感したりほくそ笑んでいただけたら幸いである。

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