20年近く結婚生活を維持することが、容易ではなかったはずなのに、いつも応援してくれ支えてくれた妻シビ・ブラジックは、自分が見た誰よりも強くて心優しい女性であると、クリスチャンベールは話している。
プロフィール
Christian Bale、英国ぺンブルックシャー州出身 、1974.1.30生誕 51歳
妻シビ・ブラジックの”内助の功”
クリスチャンが役作りのためにダイエットをする時には、ダイエットに集中できなくなると考えて、妻シビは隠れて一人で食事をしたりもしていたそうだ。
偶然この姿を見たクリスチャンは心が痛くなり、その日すぐに妻をレストランへ連れていったそうな。
また、後日明らかになった面白いエピソードといえば、
妻シビが夫の撮影現場までついて行き、直接スタント俳優としてバットマンを追撃するシーンで、実際にパトカーを運転したりもしたそうな。車を180°回してしまうシーンまで直接運転して見せたらしい。
メソッド演技の過酷な身体変化とその終焉
クリスチャンベールの”メソッド演技”法は、
数年間、彼の身体変化を極限に進ませたものであった。
その一つに実話ベースの戦争映画「戦場からの脱出」(2006)で彼は、ベトナム戦争で捕虜になった米軍兵を演じている。捕虜としてあらゆる侮辱を受けるこのキャラクターを演技するためにバットマンの撮影の時に比べ25kg減量した(この時の体重61kg)。この後バットマンの続編である「バットマン ダークナイト」(2008)のために再び25kg増量し(体重86kg)、次の作品である実話ベースのボクシング映画「ザ・ファイター」のために再び20kg減量する(体重66kg)という離れ技をやってのけた。
極限で体重を減らすことに慣れていたクリスチャンは、今回は正反対の挑戦をしてみることにした。2013年作品の「アメリカン・ハッスル」にて、膨らんだお腹を作ってきたり、2018年作品「バイス」では、実在の人物であるアメリカの副大統領ディック・チェイニーを演じるために、100kgを超える巨体を作ってきたりした。
さらにディック・チェイニーの特徴である太い首を作るために、首を太くするための特別な運動までしながら完璧に近いシンクロ率を目指してみたりしたのだ。ちなみにこの映画はサムロックウェルが演じたジョージブッシュ大統領の演技も、これまた凄いシンクロ率を見せ、いろいろな面で観客の度肝を抜いた映画となった。
このように役が確定するたびにキャラクターに合わせて体重を変化させようとするクリスチャンに対して、彼を起用する監督たちは、あえて無理に体重調節をするよりは装着物や今や特殊メイクでカバーできると引き止めたのであったが、完璧さを追求するクリスチャンには聞き入れられなかったようだ。
そんな彼に衝撃的な出来事が起こり始めていた。
ゲイリー・オールドマンが演じた”ウィンストン・チャーチル”
新作映画「バイス」の撮影を控えて体重を増やしていたクリスチャンは、とてつもなく肉をつけていた。すでにウィンストン・チャーチルを見事に演じていたゲイリー・オールドマンに同質感を抱いていたクリスチャンは、ゲイリーに電話をかけることになったそうな。そして、唾を飛ばす勢いで彼を絶賛しながら、こう尋ねたのだった。
「わあーっ、あなたの演技は素晴らしかったです。チャーチルを演じるために、体重をどれくらい増やしたんですか?」
ゲイリー:「体重を増やすなんて?!
僕は、1kgも増やしてないよ。」
「全部扮装したんだよ。」
この衝撃的な言葉を聞いて、クリスチャンはこの日眠れなかったそうな。
現代のメイキャップやら扮装の技術は、昔の技術を遥かに超え、そっくりな外見を再現するマジックのように事細かに、質感さえ作り出してしまうようであったのだ。
ゲイリーオールドマンの圧巻な演技と総合的な外観を作り出す技術によって、映画「ウィンストンチャーチル/ヒトラーから世界を救った男」で、アカデミー主演男優賞を受賞したのだった。
この姿を見たクリスチャンは、役についての体重調節よりも演技のクオリティーを上げるために、健康にもっと気を遣わなければならないなと思ったそうな。
米アカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞!
・・・実話の実写化で話題を呼んだ映画「ザ・ファイター」の演技により、クリスチャン・ベールは第83回米アカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞しているのだが、それは2010年のことだった。
マーク・ウォールバーグが名ボクサー、ミッキー・ウォードを演じ、彼の異父兄ディッキー・エクランドをクリスチャンベールが演じている。
その絆を描いた感動の名作なのである。
コメント